日々是しんく《#7》
「『結婚』に対する『趣味婚』の創設?」


コミンズ リオ

ぴーちゃん

THYNK ファウンダー・コミンズリオの日常に溢れる「当たり前」を再考する連載。《#7》では、三十路になりどこに言っても話題に上がるあの人生トピックスについて独自に考えを披露する!

以前、共にポートランドで育った幼馴染のガッちゃん(彼もアメリカとのハーフ)がうちの近くで友人の結婚式と二次会があったからと、終了後うちに泊まりに来たのだが、インターホンが鳴りオートロックを開け、玄関の扉を開きうちに足を踏み入れた瞬間にガッちゃんは「マジで日本の結婚式ってなんなんだ?俺は一体何に丸一日と4万円を使ったんだ?」と口にした。そしてその議題で朝方まで激しく語りあったのを覚えている。結局日本の結婚式に対する、悪い言い方をすれば「不満」が多く、挙げ始めればキリがないのだが、基本的には以下が大きなテーマだと思っている。

①誰も聞いていない会社の上司たちのスピーチ
なぜ成人してまで、しかも祝いの日にわざわざ終業式の校長先生の挨拶みたいな状況を作り出すのか。もちろん話が面白い校長先生がごくたまにいるように、ウィットに飛んだ上司もほんの僅かだが存在するが、あまりにも打率が低すぎる。その打率、野球選手だったら戦力外通告ですよ。

②赤ちゃん・小学生・その他「若い」頃のスライドショー
新郎新婦がこうやって育ち、こうやって出会ったのですよ、という、結婚式の中では定番中の定番のセクションなのだが、ちょっと心の奥に聞いてみてほしい。新郎が小学校3年生の時に家族と行ったハワイの写真、うん、正直興味ないよね?

③余興(動画のやつ)
基本的に余興というもの全般、クオリティの高低により楽しめる具合は変化する。その中でも、目の前で生で行われている余興はまだその時の雰囲気でどうにかなったりするのだが、動画になると、大抵新郎新婦の友人の中の「動画編集を多少かじったことあるアイツ」が作った、内輪ノリから起こる笑い含めどう甘く評価しても「うーん…これは…。」と黙り込んでしまうものを、酷い時は10分近く見せられるという苦行。*1*2

④料理の「中の上」っぷり
どこの結婚式場に行っても、必ずと行っていいほど料理の味が中の上。もちろん美味しくないことはないのだが、一度も感動を覚えたことはない。結婚式場サイドから考えてみると、一日多いときは150人x6組の900人分の6品コースを作るとなると、素材にこだわったり、時間をかけたりする限界があるとは思う。そしておそらくどこの式場もそのギリギリのラインを攻めているゆえにどこも同じような味になっているのだろう。しかし、どうにかハックできないのかこれ?

⑤あまり書きたくないが誰もが思っていることなので代弁すると…お祝儀3万円って高くね?
そしてそのあと二次会に8000円?女性だと友達グループでかぶったり、同じドレスを何回も着るのもあれということでさらに衣装代?なんだかんだ式場が遠く足伸ばすケースも多いので交通費?さらには久しぶりに集まったということで終わったあと同じグループで飲みに行く?なんだかんだ一日で5~6万使うこともある…って、えーと、これ海外旅行いけたよね?*3

⑥最後に統括的にまとめると、全体のテンプレ感
雇われ神父のチープさと誰も聖書の福音を知らない気まずさから始まり、撮影スタッフが式と披露宴をまとめたエンドロール動画的なやつで自分が映る瞬間を見て感じる「あ、盗撮されている」と言うあの気持ちに終わるまで、なんでこんな居心地の悪いイベントをテンプレートとして売り出しているんだろう(そしてみんなやりたがるんだろう)、と正直毎回思ってしまう。

さて、上記を読んでおそらく読者のほとんどが「こいつ、人の人生の晴れ舞台に招待されて、こんなことしか考えていないとかどんだけ性格悪いんだよ」と思っただろう。正論だと思います。しかし、それに対して言いたいのは、「だからこそ本当に好きな人の式しか行かないのだよ」だ。本当に好きな人だったら、上の全てを無にするほど、単純に喜びと祝いの気持ちが強いので別にいいのだ。

また、スマ婚を始め、「テンプレじゃない式がやりたい!」と思っている人が最近多いことも理解しており、むしろここ数年で結婚している友人は皆なんらかの形で「来場してくれた人に楽しんでほしい」という気持ちを込め独自性を加えている。インチキ神父がいなかったり、会社の上司がいなかったり、余興が全員参加型だったりと、上記の数字のいくつかがなくなるだけで随分印象が代わり、実際楽しい式になっている*4。

少し脱線したが、結局「結婚式を祝う意味」に対して個人的に唯一納得できる答えが「両親のため」だ。新郎新婦からしてみれば育ててくれた両親への感謝、また、親からしてみれば自分たちが育てた子供が今度は新しい家族を作る最初のステップを見届ける瞬間*5、そのための式なのだ。それを親戚や友達や会社の同僚などが一同となり、証人として「まあ、めでたいことですね」と酒を飲みながら傍観するもの、と考えればそれなりに納得できる。

しかし、これじゃあ今回の文章、ただの愚痴と一般論に終わる。「考え」としては薄すぎる。THYNKのファウンダーとしてのプライドもある。私コミンズ リオが知りたいのは、そもそもなぜ「結婚式」ばかりこんなに優遇されるのか、である。

結婚式を祝う文化は世界中にある。インドやギリシャの結婚式は盛大なことで有名だし、アフリカやアマゾンの原住民にも結婚の儀は存在する。歴史を見ても結婚は宗教と連動しているケースがほとんどで、日本にも上記とは全く関係ない、和装で行われる神社での結婚式がある。いつの時代も、どこの国でも、どんな宗教や文化圏でも、社会やコミュニティの中で男女が家族になり(そして結果子孫を残して行く)というイベントは最重要なもの一つだということだ。

しかし、だ。例えば日本語には冠婚葬祭という四字熟語がある。冠は成人するとき、葬は死ぬとき、婚は結婚するときの、人生の祭事を表している。これをみて違和感を覚えないだろうか。人は年を取っていけば、必ずどこかのタイミングで成人する。そして人は必ず死ぬ。しかし、いま、この現代、人は必ず結婚するだろうか?40~44歳男性の未婚率は30%近いのだ。女性でも20%近い*6。冠婚葬祭のうちの「婚」を、世の男性の2割以上の男性は体験しない。

そこで思う。なせ結婚だけこんな特別扱いされるのか!結婚だけ100人以上の人を集め、一人一人から3万円を徴収し、周りから「めでたい、めでたい」って言われるのは、人生に置いて結婚できない・しない・したくない人にとって不公平なのではないか。「お祝儀はいつか回収できるから~」、とまだ若く綺麗な女の子によく言われるが、それはお前らの人生設計でだろう!とツッコミたくなる。

なので提案したい。ズバリ、「趣味婚」だ。例えば45歳を過ぎると、人は人間と結婚しないことを選択する代わりに趣味と式を挙げることができる。それは競馬でもアニメでも旅行でも鉄道模型でもラブドールでもなんでもいい。そしてその式ではちゃんと結婚式場を借り、親戚や友達を呼び、一人一人から「おめでとう!」と言われながらお祝儀をもらい、半日ほど全員でその趣味を楽しむのだ。実に楽しそうで、さらに充実度もたかそうではないか。我ながらいい案だ。国会に今すぐ持って行こう…

…って、あれ、なんで?目から汗が?あ…趣味も愛する人と楽しめた方が何倍も楽しいのか…(絶望)

【注s!!】
*1:気軽に撮影・編集できなかった90年代前の結婚式とか余興で一体何をやっていたのだろうか、と思ってしまうほどこの動画余興は今では一般化している。

*2:ちなみにテレビ局をはじめとした映像やマスコミ業界の結婚式は、本職が関わっているということもあり、人一倍この動画余興に力が入っている。多くのケースでは制作者(もしくは新郎新婦のいずれか)が担当している番組のセット・CG・アナウンサーなどを使用したり、コネを使って芸能人やアスリートにお祝いメッセージをもらうという、これはこれでテンプレすぎて辟易するのだが、マスコミ関係じゃない参加者からの評判はすこぶるいい。「うわあ!さすがテレビ局!」という黄色い声が業界人のプライドを何よりもくすぐる。

*3:以前働いてた会社の、明るく友達も多い女性の先輩は数ヶ月連続月2~3で結婚式が入っており、「やばい。ご祝儀破産しそう」と名言を残していた。

*4:ちなみに冒頭に出てくるガッちゃんの結婚式では披露宴の途中で突然サンバ隊が現れみんなで踊るという、見事にテンプレを完全に破ってくれた。

*5:ドライな言い方をすると生物としての役割を全うした瞬間。

*6:最新版平成27年国勢調査から

一つの思想、万人の考え。
動画から文章、写真から詩、音楽から漫画まで、様々なコンテンツを集めた「考え」の集合所。その特徴はコンテンツどれもが連載であり、企画だということ。投稿者が普段から問い直したことが、一つの企画として読者に届けられる。一つの思想は万人の考える行為に繋がる。好奇心と知識欲を満たそう!