どぅーどる・ぴっくす《#3》
「スフィンクスの愛撫」


森 仔鹿

様々な名画を「棒人間」で描き直すことによって「ただ鑑賞する」だけでは伝わらない作品の真に森子鹿が迫る!#3はフェルナン・クノップフさんの「スフィンクスの愛撫」!スフィンクス伝説に新しい説が…?と思わせるほど、登場する二人の関係について突っ込んでおります!(コミンズ編)

今日の棒人間チャレンジはフェルナン・クノップフさんの「スフィンクスの愛撫」です。

この絵、横長ですよね〜。本物の幅は150センチですって。超ワイド画面。背景はなんかこう、パサパサした世界に見えますね。遠くの砂漠っぽいところは赤い地面です。イギリスの陸軍にはデザートピンクという迷彩塗装があるそうですが、こういうところで役に立つんでしょうね。

青空も見えているようですが、舞い上がった砂で黄色く煙り、あたりはくすんだ光に満たされています。点々と茂るのはイトスギの木立。イトスギの花言葉は死・哀悼・絶望。( ̄□ ̄;)よく墓地に植えられているそうですよ。ちょっと不穏ですね。

もう少し近くを見てみましょう。金の装飾が施された一対の青い柱が立っています。てっぺんも金の鎖で結ばれていますね。あそこが玄関なんでしょうか。さらに手前を見ると、スフィンクスのいるところは少し高くなってるんですね。ふわふわの枯れた芝のようなものが生えています。オレンジ色の花も少し咲いているかな。ここは人間とお話しするのにぴったりの高さですね。後ろには何やら文字の書いてある壁も建っています。神殿みたいな場所なんでしょうか。わざわざしつらえたのかな。でもよく見るとその壁の後ろにもイトスギの影が…花言葉は死・哀悼・絶望…(大事なので二回言いました)。

スフィンクスといえばあれですね、なぞなぞ。通りかかった旅人がそれに答えられないと食べちゃうっていう。うろ覚えですが、困った近所の人が、英雄的な旅人になんとかしてくれと頼んだはずです。そしたら、今度はその人がなぞなぞに答えられちゃったもんだから、スフィンクスが恥じて自殺しちゃったっていう。この絵ではスフィンクスも旅人も両方ご健在ですので、事の起こる直前、という事なのでしょう。

絵を見ていて面白いのは「へええ、本当はこんな感じだったのかなぁ」という気がしてくるところです。スフィンクスって美女の顔に大きなおっぱいが付いていて、体はライオン。さらに翼があって、尻尾は蛇。という設定が有名ですけれど、この子はちょっと違う感じですね。模様はチーターだし、翼はないし、尻尾も可愛い。おしりがぴょこっと上がっちゃって、ひと懐っこい感じです。わ〜い大好き大好き、ほっぺたぎゅうう。なぞなぞを出す前はいつもこんな感じなんですかねえ。

いっぽう訪ねてきた人の方はむつかしい顔。かなりの美青年ですね〜。なんで上半身裸なんでしょうか。セクシーすぎませんかね。右手には何やら王様とかが持ってそうな笏が見えています。青い玉の上に金の翼。あ、スフィンクスに無くて物足りなかった翼、ここにありますね。色使いとか素材感を見てると、背景にある柱を建てた文化との共通性も見える気がします。けっこう背負っているものが大きそうです。

で、この表情です。めっちゃ考えてます。このあとどうしたらいいんだろうってな感じです。イトスギも生えてるし、まいったな。なんとかしてくれったって、なんか自分と顔も似てるし、いいのかな。このまま仲良くなるって線もあるんじゃないか、いや、無いか、チーターだし、でも…みたいな。わかる。わかるよ。なんでも「直前」ってこんな感じじゃないですか? 私もこういう顔になることあるよ…あ、逆に、相手の顔もよく見ずにスフィンクスみたいにスリスリしちゃうときもあるな。いろいろですね。昔っから人類も珍獣もいろいろなのだ。

この絵の本物は作者の祖国、ベルギーの王立美術館にあるそうです。クノップフさん38歳の頃の作品。いつか本物を見てみたいなあ。ではまた来週、違う絵の中でお会いしましょう。ごきげんよう。さようなら。

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